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庭越しに見た母屋の全景と、裏に立つ土蔵

家のこと


明治三十九年に建った農家の主屋と、大正十二年の土蔵。住む人がいなくなって四十年、雨風だけをしのいで立っていました。直したところと、直さなかったところがあります。

来歴

とし

古い柱に残る墨書きと、大工の傷
明治39年(1906)
農家の主屋として建つ。裏山の松を梁に、土壁を塗り、瓦を載せた。
大正12年(1923)
母屋の裏に土蔵を建てる。米と味噌と、家の道具を納めた。
昭和10年(1935)
縁側にガラス戸を入れる。雨戸を減らし、庭が見えるようになった。
昭和31年(1956)
台所を改める。かまどは使わなくなったが、土間に残した。
昭和58年(1983)
住む人がいなくなる。以後、親族が年に数度、風を通した。
平成26年(2014)
屋根を葺き替える。瓦は割れたものだけ替え、残りは元の位置へ戻した。
令和5年(2023)
改修に着手。傾きを直し、土壁を塗り直し、蔵の扉を開ける。
令和7年(2025)
古民家喫茶 あおき として開店。土間に珈琲、座敷に茶。
三和土とカウンター、かまどの跡が残る土間

土間

つどい

玄関を入ってすぐの三和土の間。かまどの跡を残し、その脇に珈琲の道具を置きました。カウンター越しに、湯が沸く音と豆を挽く音が聞こえます。ひとりの方は、ここが落ち着きます。

席数
カウンター 6席
三和土(土)
向き
北。玄関に面する
二間続きの座敷と低い卓。障子越しの光

座敷

しずか

八畳が二間続きの座敷。襖を外し、低い卓を四つ置いています。障子越しの光で、昼でも少し暗い。本を読む方、話す方、寝てしまう方。それぞれに使っていただいています。

席数
卓4つ・12席
向き
南。庭に面する
波打つガラス戸と松の床板、庭の緑

縁側

座敷の南に沿う、幅一間の縁側。昭和十年に入れたガラス戸は、少し波打っています。冬は日が奥まで入り、夏は軒が日を切ります。庭を見ながら、珈琲を一杯。

席数
長椅子に 4席
松の板
向き
南東。庭と裏山
厚い壁と一つの卓。扉から入る光

おく

母屋の裏に立つ、大正十二年の土蔵。壁が厚く、夏は涼しく、冬は冷えます。卓を一つだけ置き、四人までの貸切に使っています。ときどき、器の展示もここで。

席数
卓1つ・4席(貸切)
板張り・漆喰壁
向き
西。母屋の裏
塗り直した土壁と、新しい松の床板の境目

改修の考え方

なおす

直したのは、雨漏りと傾きと、冬の寒さです。梁と柱と土壁は、そのまま。床は張り替えましたが、板は同じ松にしました。新しく入れたのは、厨房の設備と、蔵の断熱と、手すりです。古いものを古いまま使うことと、今の暮らしに困らないこと。その二つの間で、ひとつずつ決めていきました。

細部


障子の桟と、そこに差す光
湯呑みを持つ手と畳
庭から見た縁側の夕景

全体の席数:26席