FAXと電話の受注を一本化し、受注処理の時間を4割減らした業務改革

食品卸(年商180億円)業務改革・DX2024年6月〜2025年2月

食品卸の事務所で、ヘッドセットを付けた女性の担当者がモニターで注文を確認し、背後のガラス窓越しに商品の棚が見える様子

事例の概要

業種・規模業務用食品の卸売(年商180億円)
支援領域業務改革・DX(受注業務の見直し・システムの設定変更の発注支援)
期間2024年6月〜2025年2月(9か月)
体制パートナー1名+コンサルタント3名(うち1名は受注センターに常駐)/御社は業務本部と受注センター
担当真柴 健吾(パートナー)、早瀬 大地(マネージャー)、三好 航(コンサルタント)

受注1件あたりの処理時間

9.5分 5.9分

38%減

システムは入れ替えず、受注の入口と商品の探し方、在庫の確かめ方を組み直しました。年末の繁忙期も、新しい流れで越えています。

2024年7月(着手時)と2025年2月に、同じ方法で計った平均値の比較。

背景

飲食店、給食、病院、ホテルなどに業務用の食品を届ける卸売会社です。扱う商品は冷凍・冷蔵・常温にわたり、注文は前日の夕方から当日の朝に集中します。

受注の大半は、FAXと電話で届いていました。受注センターの担当者は、手書きの注文書を読み、電話で品名を聞き取り、受注システムに1件ずつ入力します。1日の受注はおよそ900件。人を増やしても繁忙期の残業が減らず、経験の長い担当者の退職が続いたことが、ご相談のきっかけでした。

受注センターの一日は、午前中が電話とFAXの対応、午後が注文の訂正と翌日分の準備です。手の空く時間がないまま、仕事の覚え方も「隣の人に聞く」が中心になっていました。

課題

2024年6月から、当社のコンサルタントが受注センターに常駐しました。担当者の隣に座って作業の流れを記録し、7月には2週間かけて、受注1件ごとの処理時間を計っています。平均は9.5分でした。時間の使われ方を分けてみると、次のことが分かりました。

  • 入力よりも、商品を探す時間が長い取引先ごとに品名の呼び方が違い、手書きの注文書から商品コードを探す作業に、時間の多くが使われていました。探し方は担当者の記憶頼みで、経験の長い人ほど速く、新しい人ほど遅い状態でした。
  • 注文書の様式が、取引先ごとにばらばらFAXの注文書は取引先ごとに様式が違い、ケース・個・キロといった数量の単位も書き方がそろっていませんでした。読み違いは、配送の後に訂正の電話となって返ってきます。
  • 在庫と配送便を確かめるのに、社内の電話が要る在庫の有無や当日の配送便の空きは、倉庫や配車係に電話で問い合わせるしかありませんでした。1件の受注の途中で、何度も手が止まります。

受注の入口がFAXと電話に分かれ、確かめるたびに人をたどる。9.5分の中身は、入力の遅さではなく、この「探す」と「確かめる」の積み重ねでした。

取り組み

システムの入れ替えはせず、いまある受注システムの機能と、仕事の手順を組み直す方針を取りました。目標は、年末の繁忙期を新しい流れで越えることです。

  1. 2024年6月〜7月受注センターに常駐し、1件ごとの時間を計る

    担当者の作業を横で記録し、処理時間を内訳ごとに計りました。業務本部と合意した成功の定義は、「2025年2月までに、受注1件あたりの処理時間を4割近く減らす」です。

    計った結果は、担当者ごとではなく作業の種類ごとにまとめ、センターの全員に見ていただきました。誰かの遅さを責める数字にしないためです。

  2. 2024年8月〜9月受注の入口を整える

    注文の多い取引先から順に、営業担当と一緒に訪ね、受注システムに備わっていたWeb発注の画面への切り替えをお願いしました。FAXを続ける取引先には、いつもの商品と単位をあらかじめ印字した注文用紙をお送りしています。

    切り替えをお願いする時は、実際の画面をお見せしながら、発注する側の手間も減ることを説明しました。前日の注文をそのまま呼び出して直せる点が、とくに喜ばれています。

  3. 2024年10月〜11月品名の呼び方と、商品コードをつなぐ

    取引先ごとの品名の呼び方と商品コードの対応表をつくり、受注画面で呼び方から商品を探せるようにしました。設定の変更はシステム会社に依頼し、当社は依頼の中身と確認の手順をまとめています。電話の受け方も、画面の入力順に沿った聞き取りの順番に改めました。

    対応表の最初の版は、常駐したコンサルタントが電話の横で書き留めた呼び方がもとになっています。登録の担当と、新しい呼び方を見つけた時の書き足し方も、あわせて決めました。

  4. 2024年12月〜2025年1月在庫と配送便を、受注画面で確かめる

    倉庫の在庫と当日の配送便の空きを、受注画面から見られるようにしました。年末の繁忙期は新しい流れで受け、毎朝の短い打ち合わせで、前日に詰まった箇所をその日のうちに直しています。

    この頃には、Web発注と新しい注文用紙に移った取引先が増え、電話とFAXの件数そのものも減り始めていました。

  5. 2025年2月同じ方法で計り直し、引き継ぐ

    7月と同じ方法で処理時間を計り直し、結果を経営会議でご報告しました。受注の手順、呼び方の登録のしかた、判断に迷う注文の扱いは、受注センターのリーダーに引き継いでいます。

    引き継ぎの資料には、処理時間の計り方も入れました。同じ方法で計り続ければ、手順が崩れ始めた時に、数字ですぐに気付けるからです。

成果

受注1件あたりの処理時間は、9.5分から5.9分へ、38%短くなりました。いちばん縮んだのは商品を探す時間で、次が在庫と配送便を確かめる時間です。

注文の多い取引先の多くがWeb発注に切り替わり、FAXの読み違いによる訂正の電話も減りました。経験の長い担当者と新しい担当者の処理時間の差が小さくなったことも、受注センターのリーダーが挙げる変化の一つです。

年末の繁忙期は、人を増やさずに越えることができました。前の年まで続いていた、夜まで残って訂正の電話をかける日も、ほとんどなくなっています。

生まれた時間は、取引先からの問い合わせへの対応や、新しい商品のご案内に充てています。品名の対応表は、いまも担当者が日々の受注の中で書き足しています。

お客様の声

システムを入れ替えないと無理だと思い込んでいました。いまある仕組みの使い方と、仕事の手順を変えるだけで、ここまで縮むとは思っていませんでした。

取締役 業務本部長

隣に座って、一緒に電話を受けてもらった数か月がいちばん役に立ちました。私たちの手間を、私たちより細かく見てくれていたと思います。

受注センター リーダー

取引先から「発注が楽になった」と言われることが増えました。訂正のお詫びに回る時間が減った分、新しい商品のご提案に行けています。

営業課長

担当者より

マネージャー 早瀬 大地の顔写真。短髪にグレーのジャケットと白いシャツ

早瀬 大地マネージャー

処理時間を縮める鍵は、入力の速さではなく、探す時間と確かめる時間にありました。1件ごとに時間を計ったことで、どこから手を付けるかを、センターの皆さんと同じ数字で話せたと思います。システムの入れ替えを急がず、いまある仕組みを使い切ったことが、大きな費用をかけずに成果を出せた理由だと考えています。

コンサルタント 三好 航の顔写真。短く整えた髪に紺のスーツ

三好 航コンサルタント

受注センターに常駐し、担当者の方の隣で電話を受けました。品名の対応表は、その席で聞いた呼び方を書き留めるところから始めたものです。現場の言葉がそのまま仕組みになったことが、定着につながったと感じています。

まずは、いまの課題をお聞かせください。

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